東洋計器(株) IoT-Rのサブ通信システム
「IoT-R wan」 開発
2021年2月25日
東洋計器(株)(松本市 土田泰秀社長)は、IoT-Rの累計出荷数が令和3年1月で82万台を超え、順調に出荷を伸ばしています。IoT-Rは、都市部はもとより、北海道知床エリアから九州の離島、零下20度を下回る寒冷地・山間部など、多様な環境下で広域にわたって活躍しています。
新型IoT-Rは極めて高い通信成功率を得られています。ただし、環境要素の影響などで、ごく一部に通信が不安定な箇所が存在します。自動検針を進める以上は、通信成功率を限りなく100%に近づける必要があります。
IoT-Rの通信が不安定な箇所として、KDDI基地局が整備されていない地区、もしくは、マンションなどの奥まったところで携帯の電波が届きにくい場所などがあります。東洋計器(株)ではこうしたエリアでも通信が可能となるサブ通信システム、「IoT-R wan」をこのほど2年の歳月をかけて開発完了させました。
IoT-R wanは、IoT-Rと同様にメーターに取り付けることができます。親機に当るIoT-R wan2とは、見通し距離で3キロメートルの通信が可能です。IoT-R wan2は、IoT-Rと同様LTE Cat.M1の通信機能を有しており、現行のIoT-Rと同じセンターで、同一画面・同一ソフトで操作ができます。
IoT-R wanと親機IoT-R wan2は見通し距離で3キロメートルの通信が可能ですが、それ以上離れている場合の対策として、中継機に当るIoT-R wan3も同時に開発しました。IoT-R wan3を活用すると、トータル6キロメートル程度の通信も可能となります。
既に実証実験に入っており、IoT-Rでは通信が不安定な地点にIoT-R wanを取り付け、好結果を得ています。
下図の設置事例(1)では、7階建てのマンションの1階にある4室と5階にある1室だけが、IoT-Rでは安定した通信が得られませんでした。IoT-R wanの導入により、検針値等必要な情報が全室取得できるようになりました。
また、設置事例(2)ではLTE-Mの通信エリア外のスポット地区があり、IoT-Rは通信ができません。IoT-R wanをメーター横に設置し、650メートル離れたLTE-M通信が可能な地点に親機を設置することで、海岸沿いの高さ5メートルの堤防を越えて親機との通信が可能となりました。
IoT-R wanのフィールド結果が良好なことから量産に入り、7月より本格的に市場投入していく予定です。サブ通信システムIoT-R wanの投入により、IoT-R方式は限りなく100%の運用が可能となり、設置全世帯の毎日・毎時・用途別のデータ取得をすることで、IoT-Rの導入効果が更に高まることになります。