東洋計量史資料館にて 11月1日「計量記念日」に
江戸時代の「枡改」古文書公開
2023年10月30日
東洋計器(株)(松本市 土田泰正社長)が運営する「東洋計量史資料館」(土田泰秀館長)は、国内外の古い度量衡や学術書など、数万点を保存しており、一部を一般公開しています。
11月1日の「計量記念日」を記念し、天明2年(1782年)10月に、松本から大町を対象にして行われた「枡改」の古文書を公開します。
この古文書は、一般社団法人日本計量史学会・山田研治会長が所蔵していたものを、当館土田館長(日本計量史学会副会長)が地元に関連した資料であることから譲り受けました。
古文書の解読は、松本市古文書研究会会長である横田國政氏が引き受けてくださいました。
主要な内容
- 江戸幕府は枡による取引が正しく行われるよう約10年に一度「枡改」を行い、不正な枡で計量されていないか確認していた。江戸の樽屋が東国33ヵ国を、京都の福井家が西国33ヵ国が各地の「桝改」を行っていた。
- 天明2年(1782年)には、信濃と上野二国の「枡改」を行い、本資料は、松本から大町を対象に行われたものの記録である。記録は、大町九日町の浅野次郎右衛門が記した。松本藩主は松平光悌の時代である。
- 「枡改」の主な内容は、焼印(極印)のないもの・樽屋製でないもの・定めた7種以外の枡は、全て没収された。樽屋製と確認できれば古くても使用を認めた。枡の一部が欠損したりしている場合、小修理若しくは大修理を行った。使えない枡は新しい枡に交換した。
- 江戸幕府は、一万石当たり50個の枡を配布しており、寛文8年(1668年)配布では、松本藩が七万石であったので350個の枡が配られた。その枡の「枡改」が、松本藩においても代々行われて来た。
- 松本町では、枡改の役人が10月4日に松本町本町杉田屋に宿を構え「枡改」を行った。全部で384個の「枡改」が10月4日から10日の間に行われた。内訳は、一斗枡25個・一升枡170個・五合枡47個などである。枡を使っていた業種別件数が記されており、造酒屋10軒・穀商売12軒・小酒屋40軒・油屋8軒・酢屋3軒・溜り屋3軒・搗売47軒・塩屋6軒・乾物屋4軒、合計137軒の商売屋から314個の枡が提出された。
「枡改」の代金は、古枡の引換分も含めて42両4匁5分となっている。 - 10月14日からは、松本浅間村の忠兵衛方で松本から大町までの村方を対象に、提出された56個の「枡改」を行い10月23日に完了した。
正しい計量を維持管理するために、江戸時代でも相当の労力をかけ入念な検査が行われていました。
現在は、センサーと電子回路・IoTなど通信端末との融合により、計測方法は簡便確実になり大きく省力化されていますが、『正しい計量』を維持するという社会の原則は全く変わることはありません。計量制度は経済・社会の最も基本的な制度です。
『計量記念日』を契機に、『計ること』の大切さを、再度多くの方に認識していただければ幸いです。
江戸時代の「枡改」古文書公開 概要
東洋計量史資料館 |
住所:長野県松本市埋橋1-9-18 館長:土田 泰秀 連絡先:東洋計器株式会社 秘書室 TEL:0263-48-1121(東洋計器株式会社 代表) |
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一般無料公開日程 | 2023年11月1日(水) 計量記念日 10:00~15:00 ※予約不要です |
公開内容 |
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URL | 「東洋計量史資料館」ホームページ https://www.toyo-keiki.co.jp/toyokeiryoushi/ |