水道水使用実態調査システムを活用した実態調査
射水上水道企業団様(富山県)
射水上水道企業団様では、東洋計器製「水使用実態調査システム(データロガ+水栓使用検知器)」を活用した水の使用実態調査を行いました。これは、お客さまからの水使用量に関する相談や苦情の増加及び長期化に伴い、実際にいつ(時刻)、どこで(蛇口)、どの位(使用量)の水を使用したのかを科学的な根拠をもとに把握し、お客さまへ使用量の多い原因や節水のアドバイスを具体的に示すことが可能となることから実施したものです。
1.水道使用量に関する相談や苦情が増加
近年、射水上水道企業団様では、お客さまから水道の使用量に関する相談や苦情が増加、長期化する傾向にありました。お客さま立会いのもと、再検針や漏水・誤針の有無確認を実施しても、そもそもお客さま自身には水道をそれほど使用したという意識が少ないため、ご納得いただけないケースがありました。
2.「水使用実態調査システム」の活用を検討
3.水使用に関するデータの収集
まず試験的に職員宅に機器を取り付け、水使用に関するデータを収集しました。
4.家族構成及び調査期間
対象となる職員宅の家族構成及び調査期間は次の通りです。
対象宅 | 家族構成 | 対象水栓(蛇口) | 調査期間 |
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A宅 |
5人
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B宅 |
5人
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5.調査結果
実態調査を行ったところ、結果は次の通りとなりました。
1ヶ月当りの使用水量及び一日平均使用水量
水栓(蛇口)別使用割合
A宅・B宅を比較すると、各水栓(蛇口)の使用割合は異なり、世帯別の傾向が読み取れます。 使用割合の多い水栓(蛇口)を重点的に、使用回数や蛇口の開度を調整することで節水を図れると思われます。このような計測は、使用水量に関する苦情宅へのアドバイスデータとして有効と考えられます。
曜日別使用割合
A宅・B宅ともに、休日と平日とであまり相違は見られません。ほぼ毎日洗濯や風呂で水を使用していることが考えられます。また両宅とも祖母が平日家にいることも、要因の一つと考えられます。
時間帯別使用水量
全期間の時間帯別使用水量はグラフの通りです。A宅は晩から深夜にかけて使用水量が多いのに対し、B宅は早朝に使用水量が多いことが分かります。生活パターンの違いが顕著に表れています。昼間の使用は祖母が在宅しているためと考えられます。
6.まとめ
この実態調査を通じて得られたデータ及びノウハウは、今後増加していくと思われる使用水量に関する苦情に対して有効であると考えられます。射水上水道企業団様では、苦情に対しては誠意を持って対応するのが水道事業者としての責務であり、このような機器を使用して対応する姿勢と体制を常に整えておくべきと考えています。
またこの機器を活用して、蛇口を開けた回数、蛇口を1回開けた当りの水量及び1秒当り水量などの調査分析や、漏水チェック、季節や気温などによる使用水量変動の統計による給水計画の立案に役立てることができると考えられます。
参考
データロガ+水使用検知器による水栓別データ
掲載年月:2005年5月