2024年10月26日 晩秋の乗鞍岳を訪ねる
10 月の後半、閉山間近の晩秋の乗鞍岳を訪ねました。乗鞍岳は標高3,026m の噴火警戒レベル1の活火山で、日本百名山の一つです。乗鞍岳の登山口である標高2,702mの畳平までは、バスもしくはタクシーで行くことができ、車両で行くことができる日本の車道の最高地点といわれています。乗鞍岳初登頂は、1683(天和3)年、円空上人(えんくうしょうにん)とされています。
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冷泉の流れ
畳平に向かう途中に、山小屋「冷泉小屋」(標高2,100m)があります。小屋の向かいに冷泉が湧いており、硫⻩の匂いがわずかに漂ってきます。栄養分が豊富なのか、苔の緑が鮮やかです。
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ナナカマドの実
秋の乗鞍岳を彩ってくれるナナカマドの紅葉は有名で、すでに落葉していましたが、赤い実がハイマツの緑に映え見事でした。
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ダケカンバ(岳樺)の幹
標高の高い樹林帯には、ダケカンバ(岳樺)が生育しています。シラカンバ(白樺)よりも高い場所に分布し、岩上や雪崩の多い斜面でもたくましく育ちます。
落葉していましたが、秋になると鮮やかな⻩⾊に⾊づき、赤く⾊づくナナカマドとのコントラスがきれいです。
落葉していましたが、秋になると鮮やかな⻩⾊に⾊づき、赤く⾊づくナナカマドとのコントラスがきれいです。
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浅間山を遠望
登坂道路の途中、東方面を眺めると、浅間山から八ヶ岳を望むことができます。
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ナナカマド・ハイマツ・ダケカンバ
赤いナナカマドの実、ハイマツの緑、ダケカンバの白い幹が美しい造形を形成しており、晩秋にしか見ることのできない風景です。
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槍ヶ岳・穂高連峰を望む
北⻄方面には、槍ヶ岳から穂高連峰が連なっています。
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乗鞍岳
畳平から望む乗鞍岳です。乗鞍岳の広大な斜面はハイマツで覆われており、雄大な景⾊が広がっています。
畳平のバスターミナルの近くでは、夏になると高山植物が咲き揃います。コマクサ、クロユリ、チングルマ、シナノキンバイ、コバイケイソウなどに出会えます。
畳平のバスターミナルの近くでは、夏になると高山植物が咲き揃います。コマクサ、クロユリ、チングルマ、シナノキンバイ、コバイケイソウなどに出会えます。
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積雪に耐え抜いたダケカンバの枝
乗鞍岳は積雪が5m 以上になるところもあり、重い雪の荷重や雪崩に耐え大きく曲がったダケカンバの幹は、強い生命力を感じます。氷雪との闘いの軌跡を見るようです。
ダケカンバは環境への適応力が高く、風衝地では枝や幹を曲がりくねらせ、低木状になるそうです。
ダケカンバは環境への適応力が高く、風衝地では枝や幹を曲がりくねらせ、低木状になるそうです。
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槍ヶ岳・穂高連峰・焼岳
槍ヶ岳(標高3,180m)の北⻄に⻄鎌尾根が続き、双六岳(すごろくだけ)、三俣蓮華岳(みつまたれんげだけ)などを眺めることができます。
手前の丸い山は、活火山の焼岳(標高2,455m)です。
手前の丸い山は、活火山の焼岳(標高2,455m)です。
乗鞍岳に冬が来ると、道路は通行止めとなります。標高の高い乗鞍岳には大量の雪が降り、通行が再開されるのは例年5月中旬頃です。雪がとけ、大地が現れる7 月初旬頃、一⻫に高山植物が開花します。
近くには名湯・白骨温泉もあり、乗鞍から白骨温泉一帯は、上高地と並ぶ魅力ある自然豊かな場所です。
信州へお越しの際は、ぜひ足を運んでみてください。
※掲載されている情報は、撮影当時のものとなります。
撮影:代表取締役会⻑ 土田泰秀